ルース・バンダー・ジー 文
ロベルト・インノチェンティ 絵
柳田邦男 訳
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1944年、第二次世界大戦のユダヤ人大量虐殺にまつわる物語。
ユダヤ人として生まれた。エリカの両親は絶望の中1933年からの時間を過ごし、強制収容所で死を迎えた。
エリカが両親の生活や心情に思いを馳せる。
私たちがする以上に、辛いだろう。そして、それを確かめることも、共有できる身内もいない。想像しかできないことがどんなに苦しいだろう。エリカは強制収容所の映像、話に触れるたびにどれだけ胸を押しつぶされそうな気持ちになるだろう。
心の中にしかないお母さまとのお別れに思いを馳せ、抱きしめてくれたことだろうと思う。
ゆるしてね、そう言われたことを思う。
顔じゅうに何度もキスし、愛してると言ってくださったろうと思う。
エリカが悲しみに生きているわけではないことが感じられる。
柳田邦男のあとがきにもあるが、「じぶんは死にむかいながら、わたしを生にむかってなげた」、希望が、ある。
生きることに必死だったのだ。万が一の可能性にかけるほど。どうせならそちらにかけようと。そして、命が続いている。
ナチスドイツがしたことに興味がある。
なぜか、知りたいと思う。私が平和だから、他人事として想像しているだけの悪趣味なんだ。