|
後半は滲み出る涙が我慢できませんでした。
最後に母の寂しさや生活がきちんとわかるように描かれていた点、母像を読者に委ねずにきちんと描いてある点、最後まで良かったです。
途中途中理解が及ばないサービスに薄気味悪さを感じてしまいましたが…
母という人物から滲む美しさ、
人の生き方や幸せ、
東京の生活の華々しさの裏にあるものとは、
などとかんがえながら読みました。
わたしの想像の背景にあるのは関東のあるど田舎の、母の生家。
築100年以上の、庭の草花が美しい農家の風景。
小高い位置に神社と寺院があり、
集落の人間が守っている。
しがらみもあるが美しい田舎。
子供の頃は何もなくて退屈だったかもしれない。
でも思い返せば笹船を流した用水路。
ガマの鳴く田んぼや古井戸。
薄気味悪い墓地。
それらの中で過ごした夏、秋、冬、春。
思い出して心地がいいのはいつもあの山の緑。
祖父母の庭。
不便だからもうすぐ私たちの暮らす便利な街に越してくる。
ふるさとを無くしていいのかな。
代償があるのでは。
そんなふうに考えてしまう。
豊かで優しい気持ちになれる一冊。