読書感想文など

30代後半の忘備録です。

【59】母の待つ里

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母の待つ里 [ 浅田 次郎 ]
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浅田次郎

 

後半は滲み出る涙が我慢できませんでした。

最後に母の寂しさや生活がきちんとわかるように描かれていた点、母像を読者に委ねずにきちんと描いてある点、最後まで良かったです。

 

途中途中理解が及ばないサービスに薄気味悪さを感じてしまいましたが…

母という人物から滲む美しさ、

人の生き方や幸せ、

東京の生活の華々しさの裏にあるものとは、

などとかんがえながら読みました。

 

わたしの想像の背景にあるのは関東のあるど田舎の、母の生家。

築100年以上の、庭の草花が美しい農家の風景。

小高い位置に神社と寺院があり、

集落の人間が守っている。

しがらみもあるが美しい田舎。

子供の頃は何もなくて退屈だったかもしれない。

でも思い返せば笹船を流した用水路。

ガマの鳴く田んぼや古井戸。

薄気味悪い墓地。

それらの中で過ごした夏、秋、冬、春。

思い出して心地がいいのはいつもあの山の緑。

祖父母の庭。

不便だからもうすぐ私たちの暮らす便利な街に越してくる。

ふるさとを無くしていいのかな。

代償があるのでは。

そんなふうに考えてしまう。

 

 

豊かで優しい気持ちになれる一冊。