読書感想文など

30代後半の忘備録です。

【83】わきだせ!いのちの水


 

たけたに ちほみ

 

アフリカで暮らす人々がきれいな水を飲めるように、千葉県の伝統的な上総堀りの技術を用いて、井戸を掘る大野さん。

大野さんはとても技術があったり、素晴らしい知識があつたり、海外に縁があったりしたわけではない。

大野さんにあったのは「アメリカにきれいな水を」という強い思い。

そして、行動力。

 

そして、掴んだチャンスを自分のものとして、

さらに自分のすべきことを考える落ち着き。

自分が掘るのではなく、一緒に掘る。

現地の人が技術を得られるように。

「飢えている人に魚の取り方を教える」

その考えがすばらしい。

時間がかかっても、その地で暮らす人が自分で井戸を掘れるように。壊れた時には自分たちで現地の材料でなおせるように。

 

上総堀の伝統を重んじるか

いのちを救うが先か、

そんな迷いもあったという。

そんなときに伝統を重んじる人の意見も受け止めつつ、自分がすべきことを見直し、

目的を再考した姿勢。

すばらしいなと思う。

 

そして、井戸を掘るなんて大事業な気がしたのに、実際に数日で掘ることができる場合もあるという、それが千葉県に伝わる上総堀の技術とは。

なんと素敵なことだろうと思った。