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町田そのこ
『52ヘルツのクジラたち』の町田そのこさんの作品。
陰鬱な前作でしたが、今回もすごい鬱々としていて途中で挫けそうになってしまいました。
「この先に幸せはあるのだろうか?
無いなら読むのをやめようかな…」
それほどにやばい作品でした。
とにかく主人公の千鶴が不幸すぎる。
やばいやつ、やばい情景の描写が秀逸で
「町田さん怖いっす。」
ってな感じで読み手を不安にさせます。
元夫の弥一も救いようの無いクズ男だし
逃げ出せない千鶴ももどかしい。
岡崎はクソやべーやつで、
千鶴の母親、彩子、恵真の過去、美保もみんなやばい。
聖子の母もやばいし彩子の元夫もやばい。
弥一の親もやばい。
でも本当、5章以降はハラハラしつつも号泣しながら読みました。
親子の在り方とか、善意とか、偽善とか、幸福なものの光の影にあるものとか、そう言うことを考えさせられる『星を掬う』。
今後、同作者の他の作品も読んでみたいと思います。
本当、最後はストーリーの回収にやや無理矢理感というか、あー、小説だもんねーみたいな雑さみたいなものも感じましたが、爽快感の残る後味の良い作品でした。