読書感想文など

30代後半の忘備録です。

【2】木挽町のあだ討ち

永井紗耶子

 

読み始めは「あ、こういう感じ?」と、時代物に自分が感じる読みにくさがあったが、

難しい言葉が物語の中で説明されていることもあり、登場人物の語り口調になれてからはあっという間に読み終わった。

続きが知りたくて、一気読みしてしまった。

 

父親の仇である作兵衛を討つために江戸に出てきた若い武士、菊之助

芝居小屋の人々の口から語られる彼の凛とした姿が読んでいて目に浮かぶようだった。

物語では芝居小屋の人々の多様な出自と生き様が描かれるが、特にわたしは小道具の久蔵、お与根夫妻の物語にグッときてしまった。

子供を想う久蔵さんの姿は寡黙だからこそ涙を誘う。やられた。

また、篠田金治の語りもグッときて涙。五瓶も最高だし、亡くなった際の金治の涙する姿が、、、。

家族の縁や、友情、恋についてもゆるっと問いかけるような内容で大満足だった。

わたしは俄然金治推し。