BLがテーマなのだが、内容としてはBLを軸にした日本史で、BLに興味のないわたしも読んでいておもしろかった。
古典や歴史を少し齧ると、日本だけでなく世界中で、男色や同性愛、男性同士のバディの在り方などにおおらかな時代があったことが分かる。
それらを事例を通して具体的に学ぶことができる。そう、読み物として面白いというかそれだけでなく、日本史の勉強になる本だと思う。日本史や古文を必死に勉強しているときに読みたかった。
貴族の嗜みとして男色があったことや、「女性との性向ができないなら男とやればいいじゃないか」という僧侶が存在していたことが分かった。おもしろかった。
また、江戸の頃から「性的虐待」という概念があったことにもわたしは驚いた。
LGBTQについて理解を深めようとか差別をなくしていこうという風潮で、大いに賛成だけれど「差別しないぞ」って気持ちがそのまま差別的な気もして自分の偽善っぽさが嫌になる。自分の感覚の外のことを想像するのって難しい。
そんな想いをもつ中、この本を読んで日本にもともとあった思考や人々の姿を知り、少し、感覚を得ていくような気持ちになった。