読書感想文など

30代後半の忘備録です。

【98】ギフテッドの光と影

阿部朋美

伊藤和行

 

近頃、「ギフテッド」という言葉を聞いたことの人の方が少なくなってきたのかなと思うけれどどうだろうか。

わたしはギフテッドについて学んだことがない。しかし、知識として知っておきたいと思い、読みやすそうということでこの本を手に取った。

 

本では、様々な事例を紹介している。

1人目はわたしのイメージ通りのギフテッド。とてもIQが高く、(154!)学校の授業が面白くないという小学生。

わたしはギフテッドという言葉を5年前は知らず、娘のクラスの男の子がただただ45分間ぼーっと過ごしているのをみて、「ついていけないのかな?」と思って心配していた。しかし聞けば彼は特別な進学塾に通っているという。その子について詳しくは知らないけれど、そうやって学校の学びが自分に合っていないのであれば「時間の無駄」「苦痛」と思うだろう。

 

2人目は成人女性。

彼女はギフテッドだが、個性として捉えている。MENSAに入会したという以外では、本によればその能力を活かしたり伸ばしたりしていないタイプの方。『「才能をのばせ」とか、ほっといて』とあったが、なるほど、全くだと思った。

 

3人目が衝撃だった。

視野が5度。顕微鏡のような目をもつ少年。

2Eギフテッドという言葉もここで初めて知った。

聴覚過敏と言っていいものか分からないけれど、音の刺激が痛いそうだ。印刷された文字などは「まるい点々がたくさん」に見えるのだそうだ。また、ものと自分の「波」を感じることができ、それを捉えることで空間把握をしているということが衝撃的だった。寄り添うお母様がまたすてきだと感じた。

この方はブログを開設されているので、ブックマークした。

ちょっぴりギフテッド

 

4人目はろう者のギフテッド。

わたしらろう者の知り合いが何人もいるので、もうあまりその感覚をもたないが「かわいそう」「聞こえないのに頭が良くてすごい」と思うことはあまりに上から目線だが、どうしても初めはそんなふうに思ってしまうのかもしれない。わたしも知らない頃はそうだった。

障害があるからどうとか、ギフテッドだからどう、とか、そんな偏見をもたず、人の個性や才能がそのまま生かされる社会になればいいと、わたしも思っている。

 

5人目は成人男性。特性が理解されず悩み、社会人になって自殺未遂まで起こしたそうだ。自分自身の得手不得手を理解し、周囲へ伝えた力や発想がいいなと思った。なかなかできない。それを受け入れたというか「そんなこともある」と言えた会社もすごいし、これからはそんな時代にならなければなと学んだ。

 

2章ではギフテッドについて簡単に解説。3-10%の割合でギフテッドが存在することに驚いた。

発達障害との違いというところは、読んでもピンと来なかった。一定の場面で似たような行動を示すとのことだが、全てに興味がなくて興味関心ごとのみに集中、他はやりたくないという態度をとられたときにギフテッドかもしれないと思えるだろうか。この点においてこれから先勉強したいと思った。

 

3章はそのような子たちの受け皿ということで、孫正義氏の「孫正義育英財団」と、支援先infinity、オンラインでの居場所を提供するNPO法人「ROJE」が紹介されている。積極的な受け皿が国ではなく、民間であることに日本の遅れを感じる。(感じたところでわたしは何もできないけど)

ROJEで活動している大学生の支援の仕方もすごすぎて眩しい、、、なんて素晴らしい方なの、、、人格者すぎる、、、

また、有名な翔和学園も出てきて、相変わらず非常に魅力的だし見学とか行ってみたいけど…本当にうまく行っているのかしら、進路はどうなっているのかしらという凡人で凝り固まった自分の疑問が湧き、発達障害との境目や定義がここで再び自分の中で曖昧となった。

 

4章では、才能教育の過去から現在までと、各国の特徴を述べている。

 

5章では今後どう日本のギフテッドへの支援を行なっていくか。

 

ここまで読んでみて感じたことは、特別支援教育で培った人々の意識や姿勢を、障害を有する方々だけに留まらず、特別な才能をもつ人々へも向けていくことが大切なのだということ。

自分の常識やいわゆる普通にあてはめようとしないことや特性の理解を深めていくこと、ひとりひとりの良さに目を向けることが大切なのだと考えた。

それは障害やギフテッドだけではなく、それ以外の人々に対しても同じだ。

今後も知識を深めて、人の困り感に気付き、寄り添えるようにしていきたい。