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伊波園子
数年前、沖縄旅行でひめゆりの塔へ行った。
その当時の日本の教育の異様さに震える。
よく整理されており、読みやすいのに、
戦禍が激しくなってくる中盤以降は読むのが辛くて一気読みはできなかった。
苦痛にはある程度慣れてしまうと聞いていたが、全くそんなことはないのだとこの本を読んで感じた。
異臭は異臭だし、
目も当てられぬ悲惨な死体はやはりそう感じるし、
うめき声に不眠になるし、
腐った包帯を変えるのだって慣れることなんてない。
ここに出てくる全ての少女は私たちがそうだったように、普通の少女だったのだ。
軍は住民を守ってくれない。
じゃあ何?
何のために私は怪我をしたの?
私の子供は何のために死んだの?
どうしてこんなに惨めなの?
などと、わたしの想像は月並みだが
悔しかったろうと思う。
そんなことが二度と起こらないよう、私たちは考えなければならない。
日本は戦後77年が経過。
この本の出版が1992年だから、その当時47年しか経過していなかったということ。
まだまだ完璧に歴史の一部になってしまうには新しいのかな、と個人的に思う。
大昔の出来事ではない。だって世界から戦争は無くなっていない。
歴史本として戦争体験記や記録を位置付けてはならないと思う。
平和な世界は自分たちの手で創っていくという自分ごとにしなくてはならないと思う。