読書感想文など

30代後半の忘備録です。

【14】wonder

R・J・パラシオ

 

遺伝子の疾患で顔の骨の形成不全や一部欠損で生まれてきたオーガストが、10歳にして初めて学校に通い、

差別や誤解、偏見、いじめを受けて悩みながらも

それに抗う本人の強さや周囲の温かさによって

自分の生活を拓いていく物語。

本人、家族はもちろんだが、学校の中のいわば他人が成長する点に心が動く。

 

わたしもオーガストのような疾患の方とお会いしたことがある。

外耳の形成不全と、何より顔が「普通」でない。

閉まらない瞼。

分厚すぎるくちびる。

鼻はもう覚えていない。

覚えられるほどご本人の姿をまじまじと見ていなかったのだろうなと今は思う。

身長も極端に低かった。

 

 

わたしは、ハロウィンの日に、ジャックの陰口を聞いてしまったオーガストのシーンに胸を抉られた。

そこで本を読むのをやめてしまいたかった。

多分、映画で観たことが無かったらその先の辛い出来事を勝手に想像して辞めていたかもしれない。

 

 

ここで大事なのは、差別や誤解を弾糾することではないのかな、と思う。

 

オーガストに対する視線はや感情は当然あってしまうものなのではないか。

実の姉も、それを嫌悪していたにも関わらず

自分の中にもオーガストを見るその他大勢と同じ考えや感じやがあることに気付いてしまうシーンがある。

 

大切なのは、その人とどう関わるかだ。

関わりたくない

そう思ったときに、ある種の特別扱いや、過激に排除しないことが大切だと思う。

 

わたしの娘の担任も言っていた。

「思いやり」が大切だろうと思う。

相手にはなれないし、相手の気持ちはわからないけど、

想像してみることだ。

「わたしは積極的には関わらないが、必要とあらば関わる気持ちや姿勢をもっている。」

それだけで良いのではないだろうか。

一つ上の感情として

「理解したいと思っている」

という気持ちで接してみるのはどうだろう。

 

そんなときに邪魔になるのが

他人の目線だ。

そんな自分のことを他人がどう思うか。

偽善者だと言われないか。

明日から自分が仲間外れにならないか。

変わり者だと笑われないか。

そんなことを考えてしまわないだろうか。

 

あなたは、相手を理解しようと努める人のことを

そんなふうに思うか。

 

さて、話はまとまらないけれど、

単純に物語として面白く、感動でうるうるするシーンもある。

視点が変わってオーガストに関わる人々の気持ちの描写て、新しい視点を得ることもあるだろう。

ぜひ、まだ読んだことのない人は児童書と侮らず読んで欲しいし、

映画『ワンダー 君は太陽』を観てみて欲しい。