とても有名なこの本を、初めて読んだ。
風の時代と言われる今、この本に出てくるおばあちゃんとまいの生活に、多くの人が憧れ、
背中を押されるのではないか。
そして、まいの父と母の姿に自分を重ねる大人は、「仕方がないよね」、「みんなそうよね」、「だって…」と自分を赦すのではないか。
そして、まいに共感するすべての人が、
まいの行いや周りの大人の関わりに救いを得て、
どう生きるか大なり小なり考えるのではないかと感じた。
"いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。"
物語が進み始めた頃にでてくる、おばあちゃんの言葉。
今の時代を生きる私たちをハッとさせる言葉だと思う。
分かっているけれど、どれだけの人が実践しているのか。
そして、大人は子供にこれを求める。
不便な暮らしが美しく映る。
ラベンダーの茂みに干されたシーツの贅沢な香り。
丁寧に暮らすおばあちゃんの生活。
オールドファッションだがむしろ新しくて必要な生き方。
あとがきにあったように、大地に裸足で立ち、
大地から繁茂する草花に触れる生き方。
卵がまだ温かい経験。
この暮らしは、勇気が必要だと思う。
雄鶏が果敢に闘ったであろう。
雌鶏を守ろうとしたろう、そんなまいの感受性や想像力の描写にも胸が詰まった。
誰かからの評価や考えに左右された価値観でものを語る父親と、「自分の意思」を大切にするおばあちゃんを退避して複雑さを感じるまいの混乱を読み取った。
でも、それを「いつだってそのときの自分に正直なんですよ」と笑えるおばあちゃんのおおらかさに、そんな器になりたいという憧れを抱く。
心にしまいたいことばたち
"上等の魔女は外からの刺激には決して動揺しません"
"大事なことは、今更究明しても取り返しようもない事実ではなくて、いま、現在のまいの心が、疑惑とか憎悪とかいったもので支配されつつあるということなのです"