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青山美智子
『ツキない話』というポッドキャストで繋がった短編集。
大きな悩みではないが当人にとっては人生を左右し得るちょっとした負の感情。どうしても周りは輝いているように見えて、自分はまるで姿の見えない新月のよう、だなんて、みんな思うことがあるのかもしれない。
でも、新月は存在していないのではない。
与えられた意味があって
もしくは、人間なんかに与えられなくても意味をもっていて
存在しているだけでいいとか、
太陽と比較して存在の大きさに気付くとか、
この本も繋がりを意識したストーリーだった。
似ているようでまったく違う、
新しい一日を懸命に生きるあなたへ。
最後に仕掛けられた驚きの事実と
読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ、
『木曜日にはココアを』『お探し物は図書室まで』
『赤と青とエスキース』の青山美智子、最高傑作。
長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家。
つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。
月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの思いも満ち欠けを繰り返し、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいくーー。